大学までの教育費が無償であることや生涯学習の充実などで知られる北欧ですが、その中でもデンマークは独自の歴史と文化を持ち「Folke Oplysning)と呼ばれる民衆教育の伝統がある国。その幸福度の高さでも注目されています。
昨今のグローバル競争が激しさを増す世界状況の中でも、子どもたちのWell-being(幸福)を重視した非競争的な教育が根付き、またさまざまな課題はありつつも、「みんなで一緒に生きてく」ことが大事にされている社会です。
また、立ち止まって人生を考えるための機会が大切にされているのも特徴です。義務教育期間の後期に寮生活をしながら学ぶ「エフタースコーレ」や、18歳以上の国民の生涯にわたって開かれているフォルケホイスコーレは、知識やスキルよりも、人とのつながりの中で自分自身の生き方や、社会・世界を見つめる時間を得られる場所になっています。
このお正月、NPO法人School Voice Project は、デンマークの教育を訪ねるスタディツアーを企画。日本全国から現職教員や森のようちえんのスタッフ、教育行政を志す学生さんなどが集い、ともにデンマークへ行ってきました。
この報告会では、今回の旅で現地で見聞きしたことを同行スタッフの武田緑から報告するとともに、参加者がそれぞれの訪問先で感じ考えたことを共有します。
耳だけ参加もOKです。またアーカイブ視聴も1ヶ月間可能です。
ぜひ気軽にお申込みください!
◎報告会概要
日時:2024年1月31日(水)20:30-22:00(90分)
会場:オンライン(zoom)
※お申込みいただいた方はURLを確認できます。
話し手:武田緑(同行スタッフ / School Voice Project 理事)& ツアー参加者有志の皆さん
参加費:1200円(エンタクメンバーは無料)
※アーカイブ視聴は終了後1ヶ月間とさせていただきます。
◎今回訪れた教育現場(参考)
▼マリエンダール自然幼稚園(森のようちえん)
自然の中で創造性・想像性を発揮しながら遊ぶデンマークで広まっている幼児教育のスタイル。今回訪問した園はその中でも、イタリアのレッジョ・エミリア幼児教育にもとづいた保育を行っていました。子どもの学びの様子を写真や文字で書き残す、ドキュメンテーションを重視。園舎はフレデリクスベア市内(コペンハーゲン隣接市)にあり、コペンハーゲンからバスで園まで通います。今回は雪が降り極寒の中、子どもたちがソリで遊ぶのを見学(笑)
▼バレルップ市立図書館(公共図書館)
デンマークの公共図書館は「多様なメディアを平等に扱う」という図書館法のもと、本だけでなく、雑誌、新聞、電子書籍、オーディオブック、DVD、CD、LP、ゲーム、データベースの利用が無料でできます。その他、さまざまなイベントや学校や保育施設との連携、市民向けの講座なども多数。今回は児童書部門の司書さんからお話を聞き、図書館内のツアーをしていただきました。
▼モンケケアスコーレン(フォルケスコーレ=義務教育学校)
10年間の公立義務教育学校、フォルケスコーレ。デンマークでは義務教育学校には必ず学童保育所が併設され、ペダゴーと呼ばれる放課後活動を担う生活支援員が、子どもたちの生活面だけでなく、授業内支援も担当しています。今回は、学校全体の施設・雰囲気の見学、小学2年生の授業の見学に加え、校長先生、学校司書の方、ペタゴーの方、生徒会担当の先生にお話を伺い、Q&Aの時間を設けていただきました。
▼「アブサロン」(社会実験としてのコミュニティサロン)
もともと教会だった場所をフライングタイガーの元オーナーが買い取り、社会実験としてコミュニティに開かれたスペースを運営しているところ(現在は運営者は変更)。
地域の人が誰でも参加できるカルチャースクール的な催しや食事をともにして交流するコミュニティキッチンが開かれている。一緒に今回はコミュニティキッチンの開催日にここ
で食事をとらせてもらい、現地の人たちとの交流も楽しむことができました。
▼Crossing borders(グローバルシティズンシップ教育に取り組むNGO)
どんなバックグラウンドを持つ人々も同等に生活し働くことができる社会づくりに向けて「お互いがお互いから学ぶ相互学習を促す対話する場を創る」非営利団体。平和で持続可能な世界を構築することに貢献する人を育てるため、若い人たちがアクティブな地球市民になるよう教育しエンパワーし続けています。具体的には学校向けワークショップや大人向けのプログラムなどを開発・提供。今回はミニワークショップを体験するとともに、この団体の発起人で長年フォルケホイスコーレでも働いてきたガルバさんからフォルケホイスコーレについても教えてもらいました。